どうもみこです。
私の仕事は、製造業の品質管理業務です。
安定した品質の製品を作り続けるために、「チェックリスト」は非常に有効なツールです。また、やるべきことをリストアップしてチェックをすると、抜けがなく業務を遂行できます。
しかし、こんな問題に悩んでいたりしませんか?
・レ点をするだけ(チェックすることが目的)のチェックリストになっている。
・チェックしてあるはずの項目で問題が起きている。
・作業を引き継いだ人が、まったく内容を理解していない。
・部下がチェックをしているはずなのに、作業に抜けがある。
そのチェックリストは、すでに死んでいる(形骸化している)かもしれません。
死んでしまったチェックリストには、「理由」があります。
この記事で、チェックリストを形骸化させず有効に機能させる方法を書いていきます。
「QC7つ道具チェックシート」について書いた記事も参照頂けると、より理解が深まります。
チェックリストの形骸化には理由がある
チェックリストが、形骸化してしまうことには理由があります。
目的と手段が入れ替わっている。
「目的と手段が入れ替わっている。」
これが、チェックリストが形骸化する大きな理由です。
チェックリストは、業務で行うべきことを明確化して、それらを漏れることなくこなすための手段です。しかし、理解度が低かったり、しっかりと目的を理解していないと、チェックすることが目的となってしまうことがあります。
チェックリストにチェックをすると、仕事をこなした記録が残ります。
あなたはチェックをすることで満足してしまっていたり、上司もそのチェックを見て、しっかりとチェックがされているから仕事ができていると思い込んでいる。
そんな状態におちいっていませんか?
ですが、ほんとうに大切なことは「確実にチェック項目をこなすこと」です。
チェックリストが形骸化するとこんなことが起こる
・設備日常点検表:毎日チェックされているはずなのに、設備に故障が頻発している。
・検査項目リスト:検査箇所に検査したチェックがあるのに、不具合が起こっている。
このような事例は、チェックすることが目的となってしまっているために起こっている可能性があります。
その原因として、以下の3つが考えられます。
・チェックしている目的を理解していない、チェックが目的化している。
・チェックしている本人が、チェック内容を説明できない。(チェック内容を理解していない)
・項目があいまい過ぎて、チェックをしても効果がない。
ただレ点チェックをしただけなのに、「しっかりとチェックをした」という達成感を得てしまう。上司はそのチェックを見て、「チェックしているな」と勘違いをする。
その結果、さまざまな問題があるのにも関わらず、誰もそれに気がついていなかったりすることがあります。
目的と手段をしっかりと理解する。
なぜチェックリストをつけるのか、ただチェックをすることにはそれほどの意味はありません。
チェックをした結果、抜けのない業務が行えることに意味があります。
チェックリストを有効に活用する
チェックリストは、「安定した品質の製品を作り続ける」「業務を抜けなくこなす」ために有効な手段です。 その一方で、目的や内容の理解度が低いと簡単に形骸化します。
チェックリストが全て埋められていると、しっかりとチェックをしていなくても「チェックをした」という気になってしまいます。
では、そうならないためにはどうするのか?
そのための、4つのポイントを知りましょう。
形骸化を防ぐ4つのポイント
①チェックする意味を理解する(理解させる)。
②チェック項目を明確化する。
③チェックリストの教育をする。
④質問をしてみる。
「あなた自身がチェックを行う場合」と、「部下にチェックを行わせている場合」を想定して、順番に解説していきます。
チェックする意味を理解する(理解させる)
人は「なんのためにやっているのか?」という目的を理解していないと、効果のある結果に繋がりにくくなることがあります。
「こんな仕事、なんの役に立つのだろう?」と思って仕事をしていると、自然とやる気が無くなってきませんか?
自分の業務の重要性を理解するからこそ、「しっかりとこなそう」という気持ちを持つことができるのです。
設備日常点検 → いつも設備を良い状態に保ち、効率よく仕事をこなす。
検査項目リスト → 決められた項目を検査することで、品質を保証する。
再発防止対策 → 過去に起こった不具合をチェックして、再発を防止する。
あなた自身がチェックする場合、「なんのためにチェックをするのか」をしっかりと理解する。
部下にチェックをさせる場合、「なんのためにチェックをしているのか、という目的」をしっかりと理解させましょう。
チェック項目を明確化する
チェック項目が不明確であると、同じチェックをしても結果に違いが起こります。
これを防ぐためには、チェック項目を具体的(明確化)にすることが有効です。
チェック項目:「目盛りを確認する。」
結果: 理解していない人 → 目盛りを見るだけ。
理解している人 → 目盛りが正常値なのか確認する。
問題点:メモリを確認することではなく、メモリの数値が大切。
対策:「目盛りが『30~40』の間になっているか確認する。」
チェック項目:油漏れがないか確認する。
結果: 理解していない人 → 油が漏れそう。と思ったところを確認する。
理解している人 → 油漏れが起こる、3つの場所を確認する。
問題点:どこを見ればいいのかが、明確化されていない。
対策:〇〇と△△と××に油漏れがないか確認する。
チェック項目:忘れ物がないか確認する。
結果: 理解していない人 → なにを持つことが正しいかわからない。
理解している人 → 財布・携帯・名刺・手帳と具体的。
問題点:なにを持っていればいいのかが明確化されていない。
対策:財布・携帯・名刺(5枚以上)・手帳を持ったか確認する。
このようにチェック項目を具体的に明確化することで、チェックをする人が変わっても同じ効果を得ることができます。
チェックリストを作った人だけが理解していてはダメです。実際にチェックする人が、具体的に理解できるようにする必要があります。
具体的であるということは、あなた自身の場合でも、部下にチェックを行わせる場合でも変わりません。
チェックリストの教育をする
あなた自身のチェックリストであれば、あなたが理解をしていれば教育は必要ありません。
ですが、部下などに任せる場合は教育を行う必要があります。
①で説明した目的を理解させたり、②のチェック項目のポイントをしっかりと教育をしましょう。
教育するタイミングは、「チェックリストを作成したとき」「担当者が変わるとき」「チェック項目が更新されたとき」「理解度が不十分だと感じたとき」が想定されます。
質問をしてみる
部下に教育を行った後は、チェック項目の目的や内容について質問をしてみましょう。
しっかりと理解できていれば、質問に答えられるはずです。部下の理解度チェックをする上で、内容について質問することは有効です。
しっかりと理解させたうえで、チェックリストを運用することが大切です。試しているようで印象が悪いかもしれませんが、意味のないチェックをさせ続けるよりは良いと思います。
あなた自身のチェックリストの場合、自分自身で「このチェックは、なにを目的としているのか」「チェック内容のポイントは」といった部分を改めて考えてみましょう。そうすることで、重要性を再確認できるはずです。
形骸化を防いで有効なチェックを
4つのポイントを理解することで、有効なチェックリストの運用ができるはずです。チェックを行うだけの業務に意味はありません。
目的を達成するための手段として、チェックリストがあるのです。
最後に
チェックリストは、抜けのない業務を行うために有効なツールです。
しかし、運用次第では簡単に形骸化してしまいます。ただチェックをするだけの作業に、時間を使うことは無駄です。
しっかりと「目的を理解する」「チェック内容を理解する(させる)」「チェック内容を明確化する」、これらを忘れないことで有効なチェックリストの運用が可能になります。
あなたも「形骸化を防ぐ4つのポイント」を理解して、チェックリストを有効に仕事に役立ててみませんか。
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